家庭やDIYで金属加工を行う人には必須である「溶接機」。工場や職人さん向けと考えられていた溶接機ですが、現在は家庭用の溶接機も増え機種の選択肢がかなり広がっています。
しかし、溶接機の種類はさまざまであるため金属加工の知識がない人には選びにくいことも事実。
「手棒?ワイヤー?何が違うの?」
「手軽に溶接ができるのはどっち?」
この記事では被覆アーク溶接、半自動溶接と呼ばれる溶接機の違いを比較。それぞれのメリットやデメリットを解説します。また、家庭やDIYで手軽に溶接が行える溶接機を厳選して紹介。
あまり知識や経験がない人にもこれを選んでおけば間違いない、といった溶接機をお伝えします。性能面に問題ない溶接機を選べば後は自分の技術だけ、みなさんのDIYライフの手助けになれれば幸いです。
溶接機を選ぶ前に快適な作業環境と道具を確保する
これから溶接機を選ぶ前に溶接ができる場所であるかの確認と安全に作業するための道具は必須です。家庭用の溶接機が増え、手軽に作業ができやすくはなりましたが、火や電気の危険性を十分に把握しておく必要があります。
溶接をする際には、火花が激しく飛び散ります。木工もしている人は木屑など、引火する可能性を含むものがある場所での溶接は基本的に厳禁です。
屋内での作業は火災のリスクがない場所を選ぶこと、できる限り屋外作業にすることなどの対策が必要です。
また、激しい光から目を守るための保護面、火傷や感電予防として革手袋などの安全面を考慮した道具も必須となります。
特に感電対策は目に見えないことから軽視されがちですが、重症リスクもあるほど非常に危険です。
家庭やDIYでの溶接には災害リスクもともなう事を理解しておきましょう。
溶接機を選ぶ際は作業性や金属の種類から選択すると共に、上記の安全対策から屋内作業か屋外作業であるかなども考慮する必要があります。
溶接をする際の前提条件を踏まえた上で、家庭用として代表的な被覆アーク溶接機、半自動溶接機の特徴やメリット・デメリットを紹介します。
被覆アーク溶接機の特徴
家庭用やDIYで溶接というと思い浮かぶのは被覆アーク溶接でしょう。溶接棒を使って溶接をする方法で、手作業での溶接姿から手棒溶接や手溶接と呼ばれることも。
手順としては、溶接機本体から伸びているトーチに溶接棒をセットし溶接したい金属に当てるだけです。仕組みはアーク放電を利用した方法でとてもシンプル。
サイズもコンパクトなものが多いため、使い勝手の良い溶接機です。家庭用での溶接機は被覆アーク溶接機を選ぶ人が非常に多いと思われます。
しかし、被覆アーク溶接機にもメリット・デメリットがあることを押さえておきましょう。
被覆アーク溶接機のメリット
被覆アーク溶接のメリットは以下の通り。
- 風の影響を受けないので屋外作業ができる。
- 安価で一式を準備できる。
被覆アーク溶接は作業する場所を選ばないことが最大のメリットです。そのため、現場作業など広い用途で使われています。また、ホームセンターなどで目にする溶接機はほとんどが被覆アーク溶接機です。
デメリット
一方、被覆アーク溶接のデメリットは以下の通り。
- 溶接後の見栄えがあまり綺麗ではない。
- 棒を取り替える必要があるので長い距離の溶接に向かない。
- 溶接自体が難しく、技術が必要。
特に100Vの溶接機ではパワーが足りず厚板の溶接に向かない、薄い板では棒の動きが難しく穴を開けてしまう。そういった理由からも、経験のない初心者には練習が必要になります。
半自動溶接機の特徴
半自動溶接機は溶接のワイヤーが自動で供給され溶接をする方法で、アーク溶接のように溶接棒の交換は必要ありません。溶接材料となるワイヤーが自動で送られるため、未経験の人も比較的早く技術の習得が可能です。
半自動溶接でもシールド材としてガスを使うか、ガスは何の種類か、またはガスを使わないかによっても呼び方が異なります。
ガスを使った半自動溶接はCO2やMAG、MIGといった種類があり、ノンガスフラックスワイヤーといったものであれば、ガスを使わず溶接が可能です。
ワイヤーの供給は自動でも、溶接トーチの操作自体は手動であるため半自動溶接と呼ばれます。アーク溶接と比べると作業効率が良いため、工場などでの溶接はこちらがメインだと言えるでしょう。
半自動溶接機のメリット
DIYの観点で見る半自動溶接機のメリットは以下になります。
- 溶接のスピードが早い。
- ワイヤー交換の手間が少なく、効率的。
- ガスを使った溶接は見た目がきれい。
上記のメリット以外に基本的なこととして、未経験の人も上達がしやすいことが挙げられます。電流と電圧が安定していれば狙ったところに溶接がしやすく、溶け込みもわかりやすいためです。
デメリット
半自動溶接のデメリットとしては、以外が考えられます。
- 風の影響を受けやすいので屋外作業に向かない。
- 被覆アーク溶接機と比べると価格が高い。
- たまに溶接をする程度だと溶接材料のワイヤーが錆びてしまう。
上記の理由から、半自動溶接は主に工場などで集中的に溶接作業をする際に向いています。ガスを使わない溶接であってもワイヤーのコストが高い、ガスを使う場合にはガスの交換コストがある、といったコスト面も考慮し、作業に合った溶接機を選びましょう。
溶接機は特徴と作業場所から適切な溶接機を選ぶ
今回は被覆アーク溶接機と半自動溶接機の比較をしました。溶接機の選択は自分の作業範囲や作業環境から選ぶことが重要です。
被覆アーク溶接機と半自動溶接機を選ぶポイントとしては、
- 屋内作業か屋外作業か。
- 溶接作業の量はどのくらいか。
- 自分の技術はどのくらいか。
といったことから選ぶことをおすすめします。それぞれに違った特徴がありますが、共通している点もあります。
- どちらにせよ、ある程度の練習は必要。
- 火災や感電などのリスク対策。
上記のことは忘れないように覚えておきましょう。みなさんのDIYライフを快適にするために少しでも参考になったら幸いです。