溶接ができるようになればDIYの幅がぐっと広がります。そこで溶接機の購入を考えているけど、どの溶接機を買えばいいか分からない。
そんな方のために今日は溶接機の種類とそれぞれの特徴について紹介したいと思います。
溶接機の種類
今回は代表的な3種類の溶接機を紹介します。
被覆アーク溶接機
手溶接といわれるものでトーチに溶接棒を挟んで溶接します。溶接棒の溶け方に合わせてトーチを操作します。
本体サイズは他の2種類に比べて小さくコンパクトな傾向です。
半自動溶接機
トーチの操作は手動で、溶接棒(半自動溶接の場合は溶接ワイヤーと呼ばれます)の送給は自動でおこなわれます。なので半自動溶接機といわれています。
シールドガスタイプとノンガスタイプがあります。(ガスの要否は使用する溶接ワイヤーの種類によります。)
シールドガスタイプの場合は、溶接機本体とは別にシールドガス用のガスが必要になります。
TIG溶接機
片手でトーチの操作を操作して、もう一方の手で溶接棒(TIG溶接の場合は溶加棒と呼ばれます)を送給して溶接します。
溶接機本体とは別にシールドガス用のガスが必要になります。
溶接機の特徴(メリット・デメリット )
それではそれぞれの特徴をメリット・デメリットに分けて紹介していきます。 下は表は溶接機の対応表になります。
費用 | 手軽さ | スピード | 外観 | |
---|---|---|---|---|
被覆アーク溶接機 | ○ | ○ | ○ | △ |
半自動溶接機 | △ | △ | ◎ | △ |
TIG溶接機 | × | △ | △ | ◎ |
また、これから先に出てくる専門用語を先に羅列しておきます。
これから先に出てくる溶接専門用語
シールドガス
溶接部を大気から保護するガスのことです。
スパッタ
鉄が溶けたときに飛び散る細かい鉄の粒のことです。飛び散った粒はビード周辺にくっつきます。
スラグ
溶接ビードの上にできる黒い石のようなカスで、別名「ノロ」ともいいます。
溶接後には必ずこのスラグを除去する必要があります。
被覆アーク溶接機
メリット
費用が安くすむ
被覆アーク溶接は溶接機本体とトーチだけあればOKです。
消耗部品も必要ないので初期費用も安くすみ、ランニングコストもかかりません。
簡単に始められる
用意する部品はトーチだけで、溶接棒を挟めば準備完了です。
溶接機の設定も電流の設定だけなので簡単に始められます。
デメリット
初心者には慣れるのに多少コツがいる
被覆アーク溶接機は、手棒溶接とも言われる溶接機で溶接棒を取り付けて溶接しますが、擦り付けてアークを発生させるので最初は、コツが入ります。
外観がきれいにならないことも
簡単にできることがメリットですが、外観にこだわってきれいな溶接をするには慣れが必要です。
おすすめの被覆アーク溶接機
SUZUKID 【ネット限定モデル】直流インバーターアーク溶接機 STK-80
溶接機メーカー『スター電器製造株式会社』から誕生したブランド『SUZUKID』より発売された初心者向け被覆アーク溶接機です。
価格帯もリーズナブルで、「まずは溶接してみたい」という方にオススメです。
直流インバーターなのでアークも安定しており、小型・軽量となっております。
SUZUKID 直流インバーターアーク溶接機 STK-140
「STK-80」の上位モデルで100V/200V対応の「STK-140」です。
大きさ・重量がほぼ変わらず、性能が向上しているので200Vも使用が可能な方にはオススメです。
HAIGE インバーター溶接機 HG-MMA-140D
HAIGEから出ている「HG-MMA-140D」です。
デジタル表示で電流調整がしやすく、小型・軽量となっています。
また、ワイヤーブラシも付属されているのも魅力のひとつです。
半自動溶接機
メリット
作業スピードが速い
半自動溶接のメリットはなんといっても溶接のスピードが速いことです。溶接ワイヤーのセットや電流、電圧の調整など、初めは難しいかもしれませんが、一度セッティングしてしまえばバリバリ作業が進みます。
被覆アーク溶接と比べると溶接棒の取り換え作業が必要ない点と、溶接のスタート性が良い点がメリットで、この二点の違いで作業のスピードにかなり差が出ます。
デメリット
種類によっては費用がかかる
半自動溶接機は定期的な消耗部品の取り換えが必要になります。
家でのDIYではノンガスタイプといわれるガスを使用しないタイプで十分だと思うので、この場合は消耗部品の購入だけでいいですが、ガスを使用するタイプを使うのであれば、ガス調整器購入の初期費用とガスの定期的な購入が必要になります。
溶接条件の調整が難しい
被覆アーク溶接やTIG溶接の場合、基本的には電流の設定だけでいいですが、半自動溶接の場合は電流と一緒に電圧も設定しないと上手く溶接できません。慣れるまで少し時間がかかるかも知れません。
おすすめの半自動溶接機
SUZUKID インバータノンガス半自動溶接機 SBD-80
「初心者・半自動溶接」といえばこの機種「SBD-80」。
直流インバーターなので小型・軽量でアークも安定しおり、初心者に使いやすい機種となっております。
もちろん家庭用コンセントからの使用も可能となっております。
HAIGE インバータノンガス半自動溶接機 HG-MAGMMA-100A
HG-MAGMMA-100Aは半自動のみではなく、手棒溶接も可能となります。
この後、説明するSAYI-80Nのように「シナジー機能」などは搭載していませんが、その分、価格はリーズナブルとなっています。
また、ワイヤーやブラシなど役立つ付属品もたくさんついているのでオススメです。
SUZUKID インバータノンガス半自動溶接機 SAYI-80N
2020年度のグッドデザイン賞にも受賞された100V専用インバータノンガス半自動溶接機で手棒にも対応しています。
シナジー機能という溶接材質・板厚・ワイヤー径で最適な溶接電流・電圧を設定してくれるので初心者にはオススメな機能です。
TIG溶接機について
メリット
外観がきれい
TIG溶接はビードの外観が本当にきれいです。
見た目にこだわるのであればTIG溶接をオススメします。
仕上げ処理が不要
仕上げ処理とは溶接後にビードのデコボコを直したり、スパッタを除去して外観をきれいにする作業のことですが、TIG溶接の場合ビードがきれいなので仕上げ作業が不要になります。
また、スパッタが発生しないので、スパッタの除去作業も不要になります。
クリーンな環境で作業ができる
TIG溶接にはもう一つスラグが発生しないというメリットもあります。
スラグが出ないので作業場が汚れず掃除の手間も省けます。
デメリット
費用がかかる
TIG溶接も定期的な消耗部品の取り換えが必要になります。
また、シールドガスが必須になるので、ガス調整器購入の初期費用と消耗部品、ガスの定期的な購入が必要になり、ランニングコストがかかります。
操作が難しい
TIG溶接は被覆アーク溶接や半自動溶接と違って両手を器用に使わなくてはいけません。片手でトーチを操作し、もう一方の手で溶加棒を添加していくので、慣れるまで少し時間がかかるかも知れません。
溶接スピードが遅い
被覆アーク溶接や半自動溶接に比べると溶接のスピードは劣ります。
しかし、溶接のスピードだけをみると遅いかもしれませんが、先に述べたように溶接後の仕上げ作業を省略できるので、トータルの作業時間は変わらないという場合もあります。
まとめ
溶接の特徴について紹介してきましたが、それぞれ一長一短があるので自分が造りたいものに合わせて使うことが大事になってくると思います。
この記事が溶接機の購入を考えている方の参考になればと思います。