自宅で溶接機が使えればDIYの幅がぐっと広がりますよね。溶接をするにあたりまずは溶接機の購入が必要となります。
購入を検討していく中で、「購入を検討している溶接機が家で使えるのだろうか?」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、実際に溶接機は家庭用コンセントの使用が可能かなど疑問も生じているかもしれません。
そんな方のために、この記事では家庭用コンセントで使用できる溶接機や使用するための環境条件などについて紹介していきます。
家庭用コンセントで使用できる溶接機
自宅など作業する場所のコンセントから使用できる電流は一般的に15A(アンペア)で電圧は100V(ボルト)であることが多いです。
溶接機を使用する前に使用する環境の電気契約や作業環境を確認し事前準備をしていきましょう。では、具体的な確認手順に解説していきます。
まずは、使用する環境のブレーカーを確認しましょう
まずは、使用する環境のブレーカーを見てアンペア数を確認しましょう。ブレーカーは入口や脱衣場などの壁上部分に取り付けられています。色で判断することも可能となります。電力会社によって色の指定が異なるので以下の表を参考にしてみてください。
電力会社 | 10A | 15A | 20A | 30A | 40A | 50A | 60A |
---|---|---|---|---|---|---|---|
北海道電力 | 黒 | 黄 | 青 | 赤 | 灰 | 茶 | 紫 |
東北電力 | 白 | なし | なし | 青 | 赤 | 紫 | 緑 |
東京電力 | 赤 | 桃 | 黄 | 緑 | 灰 | 茶 | 紫 |
中部電力 | 赤 | 茶 | 黄 | 緑 | 青 | 紫 | 灰 |
九州電力 | 灰 | 赤 | 黄 | 緑 | 茶 | 青 | 白 |
画像のブレーカーの表記であれば契約アンペア数は30Aとなり、溶接機使用時に15Aを消費した場合、ほかで使える電流は15Aとなります。下記が具体例です。
電気ポットのA数はW(電力消費量)÷V(電圧)で求められます。ご家庭の電圧が100Vとし、「1000VA÷100V=10A」となります。
この場合は合計で25A消費していることになりますのであと5A使ってしまうとブレーカーが落ちてしまいます。他のDIY工具などで電気を使用されている場合は、注意が必要です。
契約を変更してアンペア数を引き上げることも可能ですが、その際には月々の電力固定費が上がりますので確認が必要です。
家のコンセントから溶接機は使える?
溶接機の種類は豊富で、さまざまな溶接機がありますが、100V対応でありコンセント差込具がついていれば通常の家庭用コンセントからの使用は可能です。
ただ、大体の溶接機は定格入力電流が30Aなど、15A以上のものが多いです。この場合、最大の出力で使用した場合、15Aのコンセントに30Aの電流が流れてしまうので、ブレーカーが落ちる可能性が高いです。
では、どのようにすれば使用が可能か。
「出力電流が調整できる溶接機」であれば定格入力電流が15A超えていても使用が可能です。
出力電流を下げることによって必要とされる電流つまり、「定格入力電流」も下げることが可能となりますので、溶接機を購入し家庭用コンセントで使用を検討されている方は、出力電流が調整できる機種を選ぶことをおすすめします。
定格出力電流が調整できる機種
家庭用コンセントで使用するための調整方法
溶接機が100V15Aで使えるように調整しましょう。
下記に使用上のポイントについて挙げていきます。
溶接機の調整をしましょう
今回はSUZUKIDの「Buddy80」という溶接機を例に溶接機の調整について簡単にご説明させていただきます。
Buddy80は100V専用機で定格入力電流は「24.4A」となっております。つまり、最大で使用した場合はブレーカーが落ちる可能性があります。
では、ここからは取扱説明書を確認しましょう。14ページ目に紹介されておりますが、100V15Aで使用する場合は「電流調整ダイヤル」を「8」までにすることで100V15Aのご使用が可能ということが記載されています。このように出力電流を調整することで使用が可能になります。
作業スペースのイメージ
調整が終わりましたら溶接機の作業環境を整えていきましょう。作業の都合上どうしても付属の電源ケーブルより延長させたい場面が出てくるかと思います。
しかし、延長コードを安易に使ってしまうと電圧の低下を引き起こしてしまいます。例えば本来100Vで100%の力が発揮するのに対し、90Vまで電圧が低下してしまいますと90%の力しか発揮することができず、溶接自体の力が弱まり本来の溶接機の力を引き出せません。
なるべく付属のケーブルのみで溶接できる環境づくりを目指しましょう。なお、溶接の際には可燃物が周囲にないかも確認してください。
100V15Aでは物足りない場合
お使いになっていくと15Aでは足りない板厚をやりたりたくなったり、安定した溶接がしたいなど出てくることも出てくるでしょう。
その場合は、家庭用コンセントを15Aから引き上げたり、200Vでご使用することをご検討ください。
詳しくは以下の記事でまとめているのでご覧ください。
100Vコンセントでおすすめしたい溶接機
では、実際100Vのコンセントで使用するにあたりどの溶接機がおすすめかご紹介します。選定基準としては「出力電流調整が可能か」・「100V専用プラグがついているのか」を必須としました。
SUZUKID インバータノンガス半自動溶接機 SBD-80
「初心者・半自動溶接」といえばこの機種「SBD-80」。
直流インバーターなので小型・軽量でアークも安定しおり、初心者に使いやすい機種となっております。
もちろん家庭用コンセントからの使用も可能となっております。
HAIGE インバータノンガス半自動溶接機 HG-MAGMMA-100A
HG-MAGMMA-100Aは半自動のみではなく、手棒溶接も可能となります。
この後、説明するSAYI-80Nのように「シナジー機能」などは搭載していませんが、その分、価格はリーズナブルとなっています。
また、ワイヤーやブラシなど役立つ付属品もたくさんついているのでオススメです。
SUZUKID インバータノンガス半自動溶接機 SAYI-80N
2020年度のグッドデザイン賞にも受賞された100V専用インバータノンガス半自動溶接機で手棒にも対応しています。
シナジー機能という溶接材質・板厚・ワイヤー径で最適な溶接電流・電圧を設定してくれるので初心者にはオススメな機能です。
環境に合わせて溶接機を使いましょう
今回は家庭用コンセントで使える溶接機や使用条件について紹介しました。
ブレーカーが落ちれば入れなおして復旧させるだけなのですが溶接が途中で終わってしまい何度も溶接するとキレイな仕上がりにはなりません。キレイな溶接をするのであれば一度で仕上げたいですよね。
この記事のスペックに合わせた溶接機なら比較的安価なものもあり、これから溶接を始めてみたい方や練習をしたい方にはとてもオススメです。
ご紹介させていただいた内容が少しでも参考になれば幸いです。